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ひそかブログ

アニメでするリアルの話、リアルでするアニメの話。そういうのが好きです。

手術で最も大事なものとは何か? - アニメ「ヤング ブラック・ジャック」より

アニメ感想・アニメ関連の話

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アニメ「ヤング ブラック・ジャック」を第4話まで見ました。
その中で強烈だったのは、第1話で間(はざま)黒男(cv:梅原祐一郎)が語った以下のセリフでした。

「手術で最後にモノを言うのは手先の技術。年齢は関係ない」

まさにその通り! 同感です。
このセリフは、ポイントが普段同僚たちとの世間話とまったく一緒で、とても驚きました。



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手術で最も大事なのは手先の技術

手術をとり行ういわゆる「外科」(げか)
外科というのは特殊なんだと思います。

理由は、外科は手術を行うため手先の器用さが求められる特殊な診療科目になるからです。
いくら学歴、知識、肩書に優れようとも不器用な人は外科、つまり手術に不向きです。そういう残酷な現実が待っているという意味で、外科は特殊な診療科目になるのでしょう。


私の勤める地方の小さな診療所でも簡単な手術は執り行われます。

具体例を挙げると、いわゆる「縫う」手術の「創傷処理」(そうしょうしょり)、体内のできもの(異物)を取り出す「皮膚・皮下腫瘍摘出術」(ひふひかしゅようてきしゅつじゅつ)、骨折によってずれた骨を戻す「骨折非観血的整復術」(こっせつひかんけつてきせいふくじゅつ)、ほかには体内の膿(うみ)を出す「皮膚切開術」(ひふせっかいじゅつ)などなど。

別にアニメのような大々的な手術じゃなくても、ちょっとした「手術」として扱われるものは意外に身近にあるものです。


しかし、それらの手術すべてに要求されるものがありまして。
それが「手先の器用さ(手先の技術)」になります。

切るにしても縫うにしてもズレた骨を戻すにしても…… 
やはり手先が不器用な人よりは器用な人の方がいい。

たとえばプラモデルを作るとき、不器用な人がつくったプラモデルと器用な人がつくったプラモデルとでは出来栄えが違うのと似たようなものだと思います。そういう意味で私は外科には不向きでしょう。プラモデルをつくるとメチャ下手なんですよね。なんか出来栄えが情けないくらいに汚くて……


職場には親子2代で医者という人たちがおりまして。
父親は、医者としての知識はそれ程じゃないけど手先はとても器用。様々なものの扱い方が丁寧です。

一方の息子は、医者としての知識は豊富だけど手先は不器用。全般にものの扱い方が雑です。

この親子はそんな対照的な組み合わせになっています。


ではここでひとつ質問を。
手術に向いているのは父親でしょうかそれとも息子の方でしょうか?


答えは言うまでもないでしょう。
手術に向いているのは父親の方です。

切るにしても縫うにしても(骨を)合わせるにしても。父親の方は丁寧かつ作業が早いという手先の器用さを持っているので、手術に向いた医者だと思います。私が外科が残酷だと思うのはこのあたりですね。いくら知識があったとしても、


手先の技術に欠ける不器用な人は、外科としていかんともしがたい


そういう部分があるという意味で外科は残酷な診療科目だと思います。手先の器用さというのは、たゆまぬ努力によってある程度補える部分はあるでしょうけど、持って生まれた天賦の才の方に左右される部分の方が大きいのではないでしょうか。



間黒男(ヤング ブラック・ジャック)のセリフをもう一度書いてみます。
「手術で最後にモノを言うのは手先の技術。年齢は関係ない」

手先の技術。
まさにその通りですね。

普段職場で「手術は何といっても器用さが大事だよなー」みたいな話をしていたので、やっぱりそうか!と激しく同意する気持ちから間黒男のセリフに電流が走りました。アニメでも、間黒男の持つ手先の技術については強調して描かれていますよね。そして間黒男のセリフに若干の補足を加えるならば、


「手術で最後にモノを言うのは手先の技術。
学歴、知識、肩書き、年齢などは関係ない」


という感じになるでしょうか。
もちろん、それらがあるに越したことは無いでしょうけどね。


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千葉県がんセンターや群馬大学病院に思うこと

逆に言うのならば。
いくら学歴、知識、肩書き、年齢があろうとも、手先があまりに不器用だと手術というフィールドではそれらを台無しにしてしまうリスクが絶えず存在するということです。

おりしも10月22日のクローズアップ現代では、千葉県がんセンターで腹腔鏡手術によって11人が死亡した事例を取り上げていました。また群馬大学病院では、腹腔鏡手術を受けた患者が相次いで12人(だったかな?)死亡しました。私が見た範囲のTV・新聞・雑誌などでは死亡原因についてハッキリとした結論は出されていませんでしたが、根本には、

執刀医があまり器用じゃなかった、

という原因があるのだと思います。


例えばの流れですが。

ひとつひとつの縫合に時間がかかる → 患者の身体的負担が増す
ひとつひとつの縫合が雑 → 出血が増えたり術後縫合の不完全さから感染症を招く


単なる個人的予想ですけど、手術は上記のような流れを取ったように思えます。
手術ではひとつひとつの作業に対して、すべて「手先の技術」が問われるんですよね。

世の中で「外科の名医」と言われる先生方は、ひとり残さず手先が器用なのでしょう。おそらく作業が丁寧かつスピーディーなのだろうと思います。


最後に。「ヤング ブラック・ジャック」の話を少し

話を少しだけ「ヤング ブラック・ジャック」に向けてみると。

かつて読んだマンガでのブラック・ジャックは、無免許医師。彼は比類なき技術を持ちながら医師の資格は持っていない男でした。


技術があっても資格の無い外科医。
資格があっても技術の無い外科医。


さて手術で本当に大事なのは、技術なのかそれとも資格なのか……


アニメがここまで踏み込むのかどうかは不明ですが、千葉県がんセンターや群馬大学病院での「事件」を思うと「ヤング ブラック・ジャック」はなかなか奥深いテーマを内包していますね。

間黒男が資格の無さに懊悩(おうのう)する場面は、個人的にはアニメの見どころのひとつになるんじゃないかと思います。学歴、知識、肩書、大病院などという「ブランド」がもてはやされる現代、まるでいまの風潮に対するに対するアンチテーゼのような。

そのあたりが「ヤング ブラック・ジャック」で興味深い点のひとつですね。


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